『真夏の方程式』- 科学者と少年の夏休み

こんにちは!ERIKOです。

8月ももう終わりを迎えますが、夏らしい暑さが続きますね。

今夏を生きる蝉たちも最後の集大成かのごとく全力で声を振り絞っていて、秋に向かっていく切なさを感じるよりも、わたしはまだまだ夏気分が完全に抜けません。

(ただ今夜はなんだか涼しくて鈴虫の音も心地よく、このまま秋に入ってしまうかと思うとそれはそれで少しだけ寂しい気もする…。)

コロナ禍であることに加え、少し外を歩いただけで熱中症の危険を感じるほどの猛暑っぷりに、外出を控え、クーラーの効いた涼しい空間で「おうち時間」を過ごされていた方も多いのではないでしょうか。

花火大会を始め、夏の風物詩と言われるようなイベントが殆ど自粛とされたこの夏。例年よりもきっと、夏を感じる機会は少なかったことと思います。

「この夏をこれで終わらせるのは味気ない」
「8月最後にでも夏気分を味わいたい」

今回は、そんな方に【 夏に読みたい極上のミステリー 】をご紹介したいと思います。

あらすじ・内容紹介

《 夏休みを玻瑠ヶ浦にある叔母一家経営の旅館で過ごすことになった少年・恭平。一方、仕事で訪れた湯川も、その宿に宿泊することになった。翌朝、もう一人の宿泊客が死体で見つかった。その客は元刑事で、かつて玻瑠ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがあったという。これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは-。》

ご紹介するのは、わたしの大好きな東野圭吾作品ガリレオシリーズの1つ。『真夏の方程式』です。

『容疑者Xの献身』がとても有名で人気ですが、個人的にこの『真夏の方程式』もお気に入りです。

帝都大物理学准教授の湯川は、非論理的なことには相容れない性格で、論理的な行動をしない”子ども”は苦手。

けれどそんな湯川が同じ宿で過ごす1人の少年・恭平と距離を縮めていくところが見所。

一緒に行った自由研究などを通してどんどん距離を縮めていく二人なのですが、事件を経て湯川が少年にかける言葉がなんとも深く、心にずっしり残ります。

他のガリレオシリーズでは「科学的なトリック」に魅せられるものが多い中で、こちらの一冊は人間模様をより楽しめる。

海沿いの町、夏の暑さ、旅館での情景などが頭に浮かんできて、屋内にいながらにして真夏な気分を堪能できる一冊です。

読みどころ

人生のたくさんのタイミングで、あの時のあのことやその時のそのことが実は繋がっていたのだと、気づくときがくる。当時は何の変哲もない「点」でしかなかった出来事たちが。

ミステリー自体この点と点を線に繋げていくところが読みどころなわけですが、この『真夏の方程式』はそれに加えて、その線が繋がったときの人間の苦悩を想起させて終わっているところに読者は心をつかまされるのです。

数あるうちの「点」をつくる場で、恭平が湯川と出会い一緒の時を過ごし交流したように、そんな大人と、そんな人と関わることができるのはとても貴重だなと思いました。

苦手な子ども=少年との交流を通して湯川が気づいたこと。恭平が、普段は中々関わることのない科学者との交流を通して得られたこと。

世代なんて関係なしに、相手がたとえ何歳だったとしても、学べることがあるんだなと、この物語は教えてくれます。

本書を読み終えたとき、あなたはこのストーリーから、何を得るでしょうか?何を感じるでしょうか?

さいごに

夏の終わりの読書タイム。夏を締めくくる最後の一冊に、本書はいかがでしょう?

個人的には片手でも読みやすい↓の文庫本サイズがおすすめです❤︎

また、本作は湯川役:福山雅治さんで映画化もされており、そちらも見応えあり。

「活字はちょっと頭に入ってこないよ〜」という方はぜひ、映画『真夏の方程式』を楽しんでみてください。

(こうやって紹介してたらまた見返したくなってきちゃった…!)

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